ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
木戸が多恵の食事をコンビニで調達してから戻ると、富樫とアツシは事務所でテレビに見入っていた。
変わりはないようだと安堵し、事務所へは入らずそのまま多恵の元へと直行した。
部屋のドアを開けると、多恵の様子がおかしかった。
壁にもたれる様に腰を落とし、足は出鱈目な方向に投げ出されていた。
酷く呼吸が乱れ、短く何度も必死に息を吸っている。
木戸に気付いた多恵は、目に涙を溜めて、
「くる…し…」
訴えるように苦しそうに言った。
木戸はすぐさまコンビニの袋を逆さにして、中の物を乱暴にばら撒くと、多恵の傍らにしゃがみ、袋の口で多恵の口元を覆った。
「大丈夫だ、死にはしない。ゆっくり息をしろ。」
平然と何でもないことのように言う木戸に、多恵は落ち着きを取り戻し、素直に木戸の言葉に従った。