ロシアンルーレットⅡ【ｺﾐｶﾙｱｸｼｮﾝ】

「私に構わないで。放っておいて。これ以上…


　優しくしないで。」


「俺に惚れるのが恐いんだろ？」


　木戸は、意地悪く笑った。


「バカじゃないの？　そんな心配なんかしてないわよ。とにかく、私のことはほっといて。」


「ほっとけない。」


「なんでよ？」


　多恵が睨み付けると、木戸は多恵と向かい合うようにして自分も腰を落とし、立てた両ひざに両肘を引っ掛けると、多恵を正面から真っ直ぐ見詰めた。


「お前を愛している。」


　低い声で、サラリと言い放った。


　多恵は一瞬思考が停止するも、すぐまたこれも嘘だと悟り、


「嘘つき」


　と言って一層木戸を睨み付けると、木戸はバレたかとでも言うように、照れた笑いを漏らす。


「本音を言うと、お前を抱きたい。というか、今のお前を抱いてやりたい。」


　視線を逸らすことなく、表情も変えず、ツラツラととんでもない事を口にする木戸に、何故だか多恵の方が恥ずかしくなって、顔を真っ赤に染めた。


「なっ、なにを！　えらそうに。」


　精一杯反論するも、木戸はそんな多恵を見て、面白がって笑うだけだった。