ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「私は… 谷口を愛してる。」


 多恵は俯きながら、ボソボソと呟いた。


「構わねぇよ。片思いは慣れてる。」


「嘘つき。」


 この男に片思いの経験などある筈がないと、多恵は再び顔を上げて木戸を睨み付けた。


 またしても、ただ微笑んで、見守るような優しい視線を多恵に向けている木戸に、多恵の怒りは熱する前に揉み消される。


「でも、あなたのことは…


 嫌いじゃない。」


「充分だ。」


 そう言って木戸は多恵の身体を抱き寄せ、そっとその場に横たえた。


 絶え間なく落とされる木戸のキスに、多恵は抗おうと頭では思うも、身体が言うことを聞かない。


< 204 / 305 >

この作品をシェア

pagetop