ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「今度やったら、舌噛み切るって言ったでしょ。」


 と言葉だけでも抵抗してみる。


「やれよ。俺に似合いの死に方だ。」


 だが木戸はあっさりかわし、今度は多恵の首筋に唇を這わせた。


「私、もう四日もお風呂入ってない。」


「偶然だな、俺もだ。」


「嘘つき。」


 木戸の髪からは、シャンプーの匂いがほんのり香る。


 平然と嘘を紡ぎ出すこの男に、言葉での抵抗など通用しないのだ。


 多恵は、木戸の『優しい嘘』にそのまま自分の身を委ねた。






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