ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】


 結婚相談所ドリームへ向かう車中、谷口さんは一言も口を利かず、仏頂面を維持し続けている。


 俺のこと怒ってんのかな。


 多恵ちゃんを救出したいのは俺だって一緒だ。


 まぁ、谷口さんほどではないかもしれないけど。


 逆鱗に触れるといけないので、俺も黙って助手席で大人しくしていると、不意に谷口さんが口を開いた。


「多恵が無事、俺のとこに戻ってきたら…


 お前とのことは水に流してやる。」


 バレてる… 何故だ?


「何のことでしょう?」


「とぼけんな! お前は嘘が下手なんだよ。自覚がないのが、これまた致命的だ。」


 また殴られるのかと思ったが、谷口さんは俺のほうを見ようともしない。


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