ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】


 腕利きの見張りでも待機させているのかと予想していたが、そんな様子は全くなく、俺たちは難なく結婚相談所ドリームに侵入できた。


 罠かとも思ったが、どうやらそうでもないらしい。


 廊下から、窓越しに事務所内を伺うと、間抜けそうなチンピラ風の男二人が、スナック菓子を摘みながら呑気にテレビを見ている。


 こいつら、確か兄貴を引き渡した時にその現場に居たっけ。


 天下の尾藤グループも、この不景気で人員削減か?


 谷口さんが、事務所のドアの取っ手に手を掛け、俺に向かって小さく頷いた。


 乱暴にドアを開け放って進入し、俺と谷口さんは、間抜け野郎二人に銃口を向けた。


「はい、警察。犯罪者は、両手を挙げてひざまずく。」


 一応手帳もチラ見せしておく。


 間抜け野郎二人は、急な出来事にアホな脳味噌が付いていけないらしく、俺たちの方を振り向きはするも、ポカンと口を開いたままフリーズしている。


 数秒後、ようやく状況を把握したのか、二人はゆるゆると立ち上がり、しぶしぶだが俺の指示に従った。


「女はどこだ?」


 谷口さんが年配の男の方に歩みより、その頭頂部に銃の筒先を押し付け、低く問う。


 男はゆっくりと顔を上げ、物言いたげに谷口さんを見た。


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