ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
古びた平屋、周囲は田畑ばかりで、その一軒家はポツリと佇んでいる。
その小さな建物の中に、一体何人の物騒な連中が居たのだろうか、今しがた血相を変えて飛び出して行った人数、少なめに見積もっても20人は下らない。
遠ざかる喧騒を己の聴覚のみで把握し、平屋の中の様子を透視でもして伺おうとするかのように、凝視する者がいた。
その者は、暗闇と同化し、まるで塀の一部のように存在している。
大勢が出て行った現在、平屋には残っていて精精2・3人である。
が、その静かに身を潜める者は、すぐさま行動を起こすことはなかった。
刻々と時だけが流れる。
およそ一時間が経過し、ようやくその者は動き出した。
旧式のボタンだけのインターホン、その音符マークを人差し指で押した。
夜の静寂に不似合いな、明快な機械音が鳴り響いた。
ほどなくして、建物の中から一人の男が、用心深く、玄関の開き戸を細く開け、訝しげな顔を覗かせた。
タイトな膝上丈のスカートから網タイツを纏った足を惜しげもなくさらけ出し、革のブルゾンを着た、真っ直ぐな髪を肩上で切り揃えた栗色ボブヘアーの女が、その男に向かって、低い掠れた声で吐息混じりに囁いた。
「ボスからの伝言、ネズミは一匹残らず始末したって。私は……ボスから、あんたたちへのご褒美よ。お互い思う存分楽しみましょう。」