ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
 乃亜は口の動きを見れば、俺が何を言っているのか、大概わかるらしい。


 けど乃亜は、ほんの束の間俺を冷ややかに見詰め、すぐにプイと視線を逸らして作業を再開した。


 俺は舌打ちすると、ドスドスと足音を響かせながらキッチンに戻った。


 音は伝わらなくても振動は伝わるだろ? チキショー。






 数秒後…


 乃亜が血相変えてこちらへ走って来る。


 何故なら俺、換気扇の下のレンジ台にケツでもたれるようにして立ち、顔の穴という穴にタバコをブッさし、右手にはライター、そして、今まさにそれらに火を点けようとしていたから。


 乃亜はまずライターを俺から捥ぎ取るように奪った。


 そして俺の正面に立つ乃亜は、見上げるようにして睨みつけてくる。


 沈黙の中での両者睨み合いは続く…



< 3 / 305 >

この作品をシェア

pagetop