ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
 そして、リングを、まるでその行為を味わうかのように、ゆっくりと




 自分の左手薬指にはめた。




「乃亜、それって……」


 乃亜は、満面の笑みで、顔をブンブン縦に振る。


 もう限界、俺は我慢できずに乃亜を抱き締めた。


 が、乃亜にキスしようとして、ようやく理沙の存在を思い出す。


 見ると、じっとりとした視線をこちらに向けていた。


 俺の視線を追って、乃亜も理沙に視線をやり、そして再び俺に戻すと、肩をすぼめて照れたように笑う。


 乃亜も理沙の存在を忘れていたに違いない。


 乃亜が、俺の手を取り、店の隅へと導いた。


 ショーウィンドウ際の観葉植物の陰だ。


 でもこれって……確かに理沙からは死角になってるけど、店の前の通行人には丸見えじゃね!?


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