ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】


 約束の時間10分前に俺たちは指定された場所、港区の産廃処理場に着いた。


 が、すでに奴らは到着していて、敷地内に入った兄貴の車を、暗くて車種ははっきりわからないが、漆黒の外車のヘッドライトが照らした。


 まず俺が、両手を頭横に掲げ、万歳の格好で車を降りた。


 ゆっくり地を踏みしめるようにして歩を進める。


 車のライトを背に浴び相手の影しか見えないが、その数4人、そのうち二人が俺に銃口を向けており、そいつらの人差し指は多分、トリガーガードに添えられているだろう。


 近づくにつれ、相手の容姿がはっきりしてきた。


 銃を構えている二人のうち一人は明らかにプロの殺し屋。


 もう一人は多分、使い捨てのチンピラ、俺が思うにこっちが俺担当だ。


 俺が足を止めると、武装していない二人のうち、背の低い方が、不適な笑みを浮かべて歩み寄った。


 40手前ってとこかな、少し長めの髪を全て後ろに撫でつけ、ノーネクタイのスーツ姿。


「サツには言ってねーだろーな?」


 切れ長の鋭い目で、俺を疑り深く凝視しながら男が念を押す。


 俺は黙ってただ頷いた。

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