ロシアンルーレットⅡ【ｺﾐｶﾙｱｸｼｮﾝ】

「信用できねぇな。」


　俺が反論するが、男は全く動じることなく、可笑しそうに嘲笑し、


「信用しようが、しまいが、お前の勝手だ。ただ俺たちは、今の時点で女を返すつもりはねぇって、それだけだ。」


　悔しいが、男の言うとおりだ。


　俺たちの方は、切り札なんか一つも持ち合わせてないしね。


「女に手を出すな。」


「さぁ？　わからねぇなぁ。これで邪魔くせぇガキはいなくなる訳だし!?」


　そう言って男は声を上げ、高らかに笑った。


「薄汚いクソどもに、彼女に指一本触れさせないと誓え。」


　また俺、カッとなって声を荒げていた。


　ヤツの思う壺だし…　バカだな、俺。


「バカか？　お前。女の『命』と、『貞操』と、どっちが大事なんだよ？　ああ？」


　どっちも大事だが、しいて言うなら『命』か…!?　自信ないですけど。


　不本意ながらも男の言葉に納得してしまい、俺は、兄貴が乗っている車を振り返った。


　それを合図だと認識した兄貴が、颯爽と車から降り立った。