ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
多恵は、薄汚れた狭い部屋に、手足を拘束され、部屋の角に背中をはめ込むようにして腰を落とし、膝を胸に張り付けて身を丸め、恐怖に震えていた。
口もガムテープで塞がれているため、大声で助けを求めることすらできない。
部屋には、黒に近い紺色の、マットレスのようなものが一枚置かれているのみ。
そこで眠れということだろうが、とてもじゃないけれど、この状況下で呑気に寝息を立てるなど、出来るはずがない。
今日… いや、もう日付が変わっているので正確には昨日、翔馬を連れて近所のスーパーマーケットへ買い物に行き、その駐車場で数人の男たちに拉致された。
すぐさま麻袋で頭をスッポリ覆われて視界を奪われ、この部屋まで連れてこられたので、多恵はここがいったいどこなのか検討もつかず、それが一層恐怖を煽る。
未だ麻袋の不快な臭いは鼻に残っており、多恵は顔を歪めた。
1時間ほど前、この部屋から連れ出された息子、翔馬の安否も気になる。
二人の男が、谷口に返すのだと言って、泣きじゃくる翔馬を無理やり部屋から連れ出した。
二人共、どう見ても堅気には見えず、多恵は自分が暴力団に拉致されたのだと悟った。