ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
 俺は躊躇することなく、大股で足早に近付いた。


「お姉さん、ちょっとそこどいてくれる?」


 丁寧に頼んだつもり。


 が、無駄にデカい図体した、杉下のボディガードかなんかが、


「何だてめぇは? ここはガキの来るとこじゃねぇ、さっさと失せろ。」


 俺の胸ぐら掴んで臭い息を吐きかけてきた。


 俺、臭覚も野生動物並み、まじキツイんですけど。


「おじさんこそ… ここはホモ野郎の来るとこじゃないです、さっさと失せなさい。」


 案の定殴られたので、俺はわざと杉下の目の前のテーブルに倒れこんでやり、その上のグラスやらアイス・ペールやらをメチャメチャにしてやった。


 だがすぐに、後ろ襟を掴まれ、バカ力で引き起こされた。


 ほんと、バカの力ってハンパねぇ。


 さらに殴りかかろうとするホモマッチョに、


「早乙女、よせ!」


 と、杉下が強い口調で制止、ホモマッチョは反射的に俺から手を離し、俺はその反動でヨタヨタと数歩後ずさる。


 コイツ、『早乙女』ってタマか? ウケるんですけど。


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