ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
 テーブルを片付けようと慌てて飛んで来たボーイに、杉下は「後でいい」と一言投げて追い払い、ついでに金魚みたいなドレスを着たホステスたちにも、目で合図して席を外すよう指示した。


 そしてようやく俺に視線を寄越すと、貼り付けたような胡散臭い笑みを浮かべた。


「なぜさっさと手帳を出さない? 有坂皆人。」


「愚問だな。手帳は最終手段だ、そう軽々しく出せるかよ。」


 とか言いつつ、さっきはあっさり使っちゃったけどね。


 俺は乱れた衣服を直しながら、ようやく空いた杉下の隣に深々と腰を降ろす。


「チッ、サツかよ。」


 ホモマッチョ早乙女も、面白くなさそうに毒づきはしたものの、俺たちが座っているコの字型ソファーの中央ではなく、右端に大人しく座った。


 お前そんなとこ座ったら、俺の意思に関係なく視界に入って来て、ウザいんですけど。


「で、俺に何の用だ?」


 相変わらず偽笑顔は崩さず、杉下が聞いた。


「小手川が殺されたの知ってるか?」


 両腕を膝に引っ掛けた前傾姿勢で首を傾げ、隣の杉下の顔を覗き込むようにして問う。


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