ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】


 多恵がここに監禁されてから、二度目の朝を迎えようとしていた。


 壁の上方に、体裁で設置されたような小さな窓の、漆黒が白み始めている。


 翔馬が解放されたことにより、新たな人質が増えた。


 もしこの先自分が解放されたとしても、それは新たな被害を生むに違いないと多恵は確信していた。


 そうならない為にも、なんとか自力でここから脱出しなければ。


 多恵を監禁している人物は三人。


 その中でトップと思われる木戸の気紛れのおかげで、多恵は富樫に乱暴されそうになるも、なんとか免れることができた。


 が、どうやら普段、木戸はここに居ないらしい。


 まる一日ここで過ごし、多恵は、富樫ともう一人、さらに若くて血気立った男の二人が、人質の管理を任されているらしいと知った。


 多恵が唯一、この部屋から出ることができ、拘束を解かれるのはトイレで用を足す時。


 その時こそが脱出のチャンスだと多恵は考えた。


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