ロシアンルーレットⅡ【コミカルアクション】
「皆人、コレを見ろ。」


 谷口さんは、深刻そうな顔で命令。


 見てますけど?


 テレビ画面に映し出されたのは、家具も何もない冷たいコンクリートの部屋。


 壁も床も緑っぽい薄汚れた色、北部屋なのか、昼間らしいが窓からは日が差し込んでおらず、明かりが漏れているだけで、部屋は薄暗かった。


 そして、画面一杯に映し出された、後ろ手に拘束され、ガムテープで口を塞がれて、部屋の隅に無造作に転がされている女を見て、俺の全身は凍りついた。


「多恵ちゃん…」


 思わず声を漏らして、その女の名を呼んだ。


 一体今、何が起こってる? 訳がわからない。


「お前、多恵を知ってるのか?」


 谷口さんが、本日発した二言目。


「高校の同級生… でした。」


 そう俺が答えると同時に、目出し帽を被った男にカメラが移動し、


「谷口、お前の妻子を預かっている。無事返して欲しければ、明日の午前2時、港区の産廃処理場に有坂龍一を連れて来い。」


 男は要求を淡々と述べた。


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