愛してるを何度でも
将平を見ると表情ひとつも変えずに黙々と定食を食べていた。

「俺、カラオケ行きたい」

食べながら話す将平はいきなりカラオケに行きたいと言葉を発した。

「いいね~俺も最近行ってねぇし…賛成!」
「カラオケいいッ!莉那も強制ね~!」
「俺、何歌おうかな」

結衣と哲君とマサ君が将平の提案に乗って楽しそうに計画を進めている。

さっきの「来れば?」の言葉を発した人の声は間違いなく将平だ。

あたしが聞き間違えるわけなんてない。

「…お前も来いよ」
あたしに目を向けて再び将平は言った。

「うん…」


あたしは将平を包み込むような愛しい目で一言返事をした。

あたしの目を見て、あたしに話す将平にも
あたしに「来れば?」と言った将平にも
びっくりした。



こんなに面と向かって話すなんてもうないと思っていた。
話しかけてくれるなんて一生ないと思ってた。






あたしたちはただの幼なじみ。





それは小さい頃から決まっていて、
その環境の中で過ごしてきた。




近すぎて遠い。

簡単すぎて難しい…


あたしたちはそんな関係だったから…
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