Heart × Hunter ~君の心は誰のモノ?~
とりあえず挨拶だけしたら、彼方のお父さんがあたしの手を取ってこう言った。
「捺禾ちゃん…私の嫁に――ゴッ」
「親父!」
「社長!」
冗談で言ってるのに…
本気で叩いてる彼方もそうだけど、秘書さんも怖い。
一瞬で片付けちゃったよ…。
「いや、冗談だよ…。で、捺禾ちゃんは彼方と付き合ってるんだよな?」
あいたた…と頭を抱えながら、あたしを見つめる彼方のお父さん。
普通は照れてしまうのに今はそんな状況じゃないな、と思った。
「親父っ…」
「別に私は構わないよ。彼方は大事な息子だ、後を継ごうが勝手にしようが構わない。」
「なに言うつもり…」
「でもな。これは彼方を責める言い方になってしまうが…後継者がいなきゃ会社は成立しないんだ。代々受け継ぐ家庭…それが止まるのは困る。」