DESTINY〜君と出会えたキセキ〜
「着いちゃったね」
「うん」
明かりが恍々と照らされたホテル正面玄関には、タクシーが列をなしていた。
私たちのすぐ隣を一台の黄色いタクシーが通り過ぎ、正面玄関の前に停まった。
こんな真夜中にも、タクシーで乗り付け、宿泊する客がいるんだ……。
燕尾服を着たドアマンが丁寧にお辞儀し、宿泊客と見られる男女から荷物を受け取り、館内へ入る姿を目で追った。
背格好や服装から、中年の男女と思われる。