DESTINY〜君と出会えたキセキ〜
黙っている私の肩を、彼はグイッと自分の方に抱き寄せた。 


ドクン……ドクン……

ドクン……ドクン……


抱かれた肩の辺りに、全神経が集中する。


心臓の音が裕司くんに聞こえやしないかと、また違った緊張感が芽生えた。


彼は、黙ったまま、私に澄んだ瞳を見せる。   


彼の瞳には、ドームの灯りに照らされた私が小さく映っていた。


彼に惹かれつつある自分を押し殺し、冷静さを失わないよう努めた。 


彼を困らせたくないから。

だって、彼には大切な彼女がいるから……。   


どうしても、昨日のバーで彼の口から聞いた話が、私の思考を邪魔する。




< 176 / 462 >

この作品をシェア

pagetop