DESTINY〜君と出会えたキセキ〜
「あれ、彼氏が迎えに来たの?」
「――違います。そんなんじゃありません」
頭を横に振り、必死で否定した。
「ごめんね。俺、先に帰るわ。お疲れさま〜!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!本当に違いますから」
大越くんを彼氏だと誤解した高島先生は、申し訳なさそうに私たちの前から消えた。
……いや、帰らないで。一人にしないで。
その場に残された二人。
店の前を賑やかに歌いながら歩く大学生やサラリーマンが、私たちの横を通り過ぎていく。
立ち止まった私の身体に、冷たい北風が容赦なく吹き荒れる。
それ以上に、目の前に立つ大越くんに、身体中の体温が奪われていくような気がした――。