ダンクとシュートと彼女と鈴

ハーティヘルス

バスケ強豪と言われる高校に入学し、初めてスタメンになった夏休みは意外と長いものになった。

(オレのせいか?オレのせいだよな)

彼女も居ないし、なおさら長い。

―朝―

ドン!ドン!

母ちゃん、それはノックとは言わないよ。

ガチャッ

母ちゃん、返事を待たずにドアを開けたらノックの意味無いよ。


「いつまで寝てるの!お母さん、もう仕事行くからね!」

出ていきかけた母ちゃんは、あ。と振り返り

「洗い物だけお願いねぇ?」

そう言い残しパタパタとスリッパを鳴らし階下へ降りていった。

母ちゃん、昔「開けたら閉めるっ!」ってすごい形相してたの誰だっけ?

「いってらっしゃい」オレは明らかに本人には届かない声で言った。


バターン!ガチャッ!ドンッ!

母ちゃんが勢いよくドアを閉め、鍵をかけ、ちゃんとかかったか確認したのがよくわかる二階のオレの部屋。

もう眠れない。暑いな。
グゥーキュル

そういやおなかも空いたな。

パンツ一枚で寝てたオレはその辺にあったTシャツ引っ張り出し、それを着て階下の冷蔵庫に直進した。

「オムライス発見♪」そう呟き暑くて寝起きのダレてたオレのテンションは半メーター上がった。

オムライスの乗った皿を取り出すと皿底はまだ熱かった。

母ちゃん、昨日の天気予報で「食中毒には注意して下さい!」って可愛らしいお姉さんが言ってたじゃないか。

ともあれ“このオムライスは大丈夫だろう”と踏んだオレはダイニングテーブルでラップを外した。

もう一度冷蔵庫を開け、さっきオムライスの隣になっていた父ちゃんのイカの塩辛の心配をしてみたが、ケチャップだけを取りテーブルに着いた。
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