ピンキー
晩御飯を食べてピンキーの家を出て帰ろうとすると、ピンキーは僕が見えなくなるまで見送ってくれた。


帰り道僕の目からは大粒の涙がいっぱい出て来た。


なんだか凄くピンキーに謝りたい気持ちでいっぱいになり、帰り道ひとりでいっぱい泣いた。


次の日学校に行くと黒板にピンキーが作文コンクールの学年代表になった事が書いてあった。


でもピンキーはその日は浮かない顔をしていた。


そしていよいよ全校作文コンクールの日がやって来た。


一年生、二年生が終わりピンキーの順番だ。


ピンキーは体育館のステージに立ち、題名を読み上げた。


『もういちろ、みふめなおひてみまへんか!』すると体育館中大爆笑の渦!


耳はあまり聞こえなくても補聴器から微かに聞こえる笑い声と、指をさして笑う人を見てピンキーは下を向いて黙ってしまった。


静まりかえった会場からは時折ヤジや笑い声が聞こえた。


僕はピンキーの目に涙が浮かんでいるのを見て、いてもたってもいられなくなり体育館のステージにかけ上がった。


僕はピンキーに言った『一緒に読もうぜ!』ピンキーは涙を拭い首をタテにふった。


僕ら二人は大声でピンキーの書いた作文を読んだ。


最初はその光景に会場からは、大爆笑やら馬鹿にする声が飛んで来たが、そんなことはお構い無しにピンキーの作文を大声で読んだ。


すると読み終えた瞬間、物凄い拍手が起きた。


横を見るとピンキーは泣いていて、それを見た僕も思いっきり泣いた。


担任の先生は僕とピンキーの頭を優しく撫でて、そしてピンキーと僕を抱き締めてくれた。


僕とピンキーは抱き締めてくれたのが女の先生なので二人とも顔が真っ赤になった。


そしてその日の最後に先生から話しがあった…ピンキーは耳の手術を受ける為、大きな病院のある近くに引っ越しをする事になったと…


しかも明日でお別れ。


なんだか腑に落ちないけど仕方がないと思った。
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