“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
side 遥
『明日、花火大会だよね?
俺、車椅子で屋上から見る許可もらったから、一緒に見よ?
遥ちゃん、浴衣着てきてよ』
そんなメールを長谷川くんからもらったのは、昨日の夜。
ふぅ…
小さくため息をつきながら、あたしは浴衣を取り出す。
―――花火大会…か…。
今まで、凌以外の人と行ったこと、なかったな。
―――浴衣…か…。
今まで、凌以外の人のために着たこと、なかったな。
…っ!!
こんなこと考えるなんて、あたし、最低だ。
何を聞いても
何を見ても
凌・凌・凌…って。
ほんと、自分が情けない。