“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
「…凌…」


―――寂しい…よ…。


浴衣と同時に、凌との思い出を抱きしめ、


「凌…。
あたし…間違ってたよ…」


抱きしめた浴衣の上に、涙をこぼす。


どうしてあの時―――


『軽々しく、付き合うとか言うな
同情とか
責任とか
そんな理由で付き合うなんて、ありえねぇんだよ』

『おまえの好きなのは、いったい、誰、なんだよ!?』


凌がそう言ってくれた時


―――気づけなかったんだろう…。



過ちを犯そうとしていることに。

責任とか同情とか。
そんなことで、無理やり人を好きになることなんて、できないということに。

そしてなにより―――

こんな状態のあたしがそばにいても、よけい、長谷川くんを寂しくさせ、傷つけるということに。
< 109 / 641 >

この作品をシェア

pagetop