“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
1階に着いて、病院の玄関を出たところで、


「征のご両親は?」


そうあたしに問いかけた凌は…。


「そっか…。
じゃあ本当に…。
帰っていらっしゃらない…って、わけか」


空を仰ぐように上を向き、切なそうに目を瞑り、その言葉と共に小さく息を吐き出した凌は…。


「征の様子がおかしい」


あたしなんかと違って、本当に長谷川くんのことを心配していて。


目を開けるとまっすぐにあたしを見下ろし、


「征が心配なんだ。
遥、出来る限り征のそばについててやってくれないか?」


そう綺麗な口を動かし、


「悪い」


あたしに深々と頭を下げた。
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