“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】

side 遥





「遥ちゃん、クレープ食べる?」


9月の中旬、退院してしばらくたち、もう松葉杖も必要なくなった長谷川くんと遊びにでかけた。


「あー…、それともアイスの方がいい?」


長谷川くんは映画館に着くまでの道で、


「それともお茶する?
まだ時間あるし…」


ひっきりなしにあたしにしゃべりかける。


その様子は―――


「あ。
これ遥ちゃんに似合いそう」


雑貨屋さんの前で立ち止まり、大きなリボンのついたカチューシャをあたしの髪に合わせる。


とても必死で―――


でも…あたし…
あんまりゴテゴテ目立つものは苦手なんだけど…


そんなこと言える雰囲気でもないほどで―――

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