“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
「あ…ぼ…ぼっちゃ…ま…」


わなわな震えるお手伝いさんらしき人が、征に駆け寄るのを目の端でとらえ、


「凌…」


ベッドの端で、自分の身体をぎゅっと抱きしめながら、わなわな震える遥の身体に、


無言で…


脱いだシャツを羽織らせ、それで遥の身体をくるむようにしてシャツだけを引っ張って立ち上がらせ、部屋から連れ出した。



服を脱がされてもいない遥に、シャツを羽織らせた意味を問いかけられれば、オレはきっとこう答えただろう。


『オレも征と同じ“男”だから』


直に遥に触れて、これ以上、怖がらせたくなかったんだ。
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