“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
征の家の玄関を出たところで、
「…りょ…う…」
遥はオレのシャツをきゅっと身体に巻きつけて、オレを見上げた。
その声は
その身体は
…痛々しいほど震えていて。
「ん。
もう、大丈夫」
そう言って遥に向かって伸ばした手を、オレは何も掴むことなく押し下げた。
本当は…
息もできないほど強く抱きしめて
遥の無事を確認したかったけど…
本当は…
その細い身体が折れるくらい強く抱きしめて
遥がオレの腕の中に戻ったことを確認したかったけど…