“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
片手であたしを抱きとめ、片手であたしの髪を撫でながら、


「当たり前だろ?」


もう一回、さっきと同じようにそう言って。


「ここが、遥の居場所だから」


身体の上にあたしを乗せたまま、あたしの両頬をそっと包んで、


「帰ってきて当然だろ?」


凌は、あたしの唇に“ちゅっ”と音をたててキスをした。


でも凌は、


「…」


ほんのちょっと考えて、


「…違うな」


すぐに首を横に振り、くすっと優しい笑みを揺らした。

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