“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
そのまま…
あたしに背を向けたまま、自分の席に戻ろうとした綾香に、


「そんなことないもん」


弱々しくも、はっきりと言ったあたしに、突き刺さる綾香の視線。


綾香はペットボトルをゴミ箱に投げ入れた程度じゃ怒りがおさまらないといった具合に、ゴミ箱を蹴り飛ばし、鼻息も荒く、肩を上下させ、あたしの横に仁王立ちした。


そして、


「だったらさ?」


椅子に座るあたしのネクタイをクイっとつかんで、


「被害者面してんじゃないわよ。
鬱陶しい」


あたしが
今まで
聞いたこともないような
低く
冷たい
声を出した。
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