“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
せっかく久しぶりに日本に帰ってきたんだ。


遥とゆっくり過ごしたいっつーの!


口をへの字に下げて、ネクタイを適当に緩く結ぶ。


その時点で、


「…あ…」


教室にかばんを忘れたことを思い出し、振り返ろうとして、歩みを止めた。


でも…


「んなの、忘れたままにしとけ」


幸い、財布とケータイはズボンのポケットに入ってるし。


あんな異常な空気の中に戻るのは、絶対嫌だ。


そう思い直し、オレは文系校舎に足を踏み入れた。

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