“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
side 遥
駅の改札。
迎えに来てくれるなんて、思ってもみなかった凌が視界に入ったときは、すごく嬉しかったのだけど。
「えっと…凌っ…
何っ?
…っと…」
何を怒っているのか、怖い顔をした凌は一言も発することなく、あたしの手首を握ってくるりと背を向けた。
――そう、あたしを送ってきてくれた渡瀬くんから。
この場に、そんな男の子なんか、存在しないかのように。
――どうしたの?
――凌…
そんな、乱暴気味にあたしを引きずる凌にびっくりしつつも、あたしは、顔だけ後ろに向けて渡瀬くんに声をかけた。