“おさななじみ”に恋をする。下【上下完結】
でも。
体が金縛りにあったみたいに動かない。


それは…


「遥ちゃんは、もうこれから…。
これからずっと、俺のことだけ考えていて」


あたしが“あのネックレスと指輪”をかばんの中に入れているということが…

あたしの…
長谷川くんへの“裏切り”であると…
認めたくはなくても
わかりすぎるほどわかっているせいで。


それでも…


「…うん…。
今度…持ってくる…」


こんな嘘を…
つかなければいけない自分の不徳さが、
本当に本当に…情けなくて。


「遥ちゃんは、ちゃんと、俺のあげたネックレスをつけて。
俺の言葉だけを聞いて。
心の中を俺だけでいっぱいにして」


情けないと同時に…


「凌のことなんて…。
心の中から全部…
全部…追い出して…」


長谷川くんのその言葉に。
あぁ…あたし、間違っちゃったんだ…。


…いまさら…気づいた。

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