君まで2ステップ
「あたしの体が目当てだったんですか?」

「そうだよ?
梨亜ちゃんもそうでしょ?
あれ…もしかして本気だった?
俺は別に梨亜ちゃんが本気でも構わないよ。だけど他に女は作るけど。」

「…あたしっ…帰りますっ!!」


あたしはズキズキする頭を押さえながら、立ち上がって部屋を出ようとした。

怖い…けど…逃げなくちゃ…!!
そんな気持ちばかりが先行する。


「それはないんじゃない?」

「えっ?」


ぐっと腕を抑えられ、壁に体を押し付けられる。
背中に冷たい壁が当たってる。
啓介さんとの距離、20センチ。




「それはないよ、梨亜ちゃん。
お互いヤらないで帰るなんて健康上良くないし。」



そう言ってあたしの顎を掴む、啓介さんの細い指。
気持ち悪くて体中に鳥肌が立つ。

笑ってるのに…笑ってない、その表情。

あたしはいつの間にか両手を頭の上で抑えつけられてるから身動きが取れないし、この気持ち悪い手も振り払えない。

せめてもの抵抗として、あたしは顔を右に振った。

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