君まで2ステップ
「晴輝…。」

「なに?この期に及んで他の男の名前?
ま、別にいいけどね。俺は。梨亜ちゃんに他に男がいても。」

「は…るきっ…。」

「ま、どうせあとから俺の名前しか呼べなくなるけどね?」







どうして…なんだろう…?


どうして…晴輝の名前があたしの口から出てくるの…?


こんな時に浮かぶのは、悲しいくらい、悔しいくらい晴輝の顔だけ…。


呼んだって来ないって分かってるのに…。


あたしのどんな些細な変化にも気付いてくれる晴輝だったら…


こんなに小さいあたしの声にも気付いて…


助けに…来てくれるんじゃないかって…


そんな期待を捨てきれない、バカな自分。




「あり得ない…よね…。」





あたしはゆっくり目を閉じる。

涙が一筋、零れ落ちた。






その瞬間だった。


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