君まで2ステップ
「後ろ乗せてっ!!」

「はぁ?」


さっきは後で行くって言ったくせに、全速力で俺を追いかけてきた梨亜。


「だって…今日、優勝しちゃったら晴輝のこと、好きになる子が増えるかもしれないでしょ?
モテるのはあたしだけでいいんだからっ!!」

「はいはい。」


梨亜がひょいっと俺の後ろに乗る。
そして俺の背中にきゅっと抱きついた。

梨亜の香りと、心地よい温かさが俺を包む。



「ねぇ、晴輝。」

「ん?」

「ちゃんと優勝しなさいよね。」

「トロフィーには別に興味ねぇけど…
梨亜のチョコは欲しいからな。」

「味は保障できない…けど…!!」

「心があればいーよ。」

「バカっ!!前向きなさいよっ!!」



真っ赤な顔して照れる梨亜をずっと見ていたい気持ちを抑えて、俺は自転車をこぎ始めた。

梨亜がさっきよりもぎゅっと強く抱きついてくる。




2段差だった俺達の距離。

だけど…俺の距離を隔てるものは、もうない。

今、俺は…
君の一番そばにいる。



「梨亜。」

「何よっ!?」

「俺も好きだよ。」

「も~っ…バカ晴輝っ!!
あたしは絶対2度と言わないんだからねっ!!」






*END*



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