君まで2ステップ
「なぁ…なんでこんな汚くなってんの?
母さん、こんなに汚してねぇだろ…?」

「それはっ…!!だってよそんちのキッチンだから分かんなくてっ…!!」

「同じマンションなんだから変わんねぇと思うんだけど。
しかも流しにすでに卵が1個、落下してるし。」

「もー見ないでっ!!黙って座っててってか寝ててよ!!時間かかるし。」

「なんでお粥にそんな時間かかるんだよ…。」

「晴輝うるさいっ!!大丈夫だから、ホントに!!だから休んでて。
ってかそばに寄らないで。風邪うつるっ!!」


確かに風邪はうつしたくないけど…
『そばに寄らないで』はさすがに堪えた。


「分かったよ。」


俺の声のトーンは確実に落ちた。
そしてゆっくりとリビングのソファーに戻り、横になった。



あぁー…もうなんなんだよ。
なんでんな優しくすんだよ…

こんなにそばにいたら…近付きたくなんだろ…?
触れたく…なるんだよ。



俺は天井に手を伸ばして、空を掴んだ。

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