ありがとうを…キミに。
いつの間にか、雅はさっきの女ではなく自分を睨んでいた。



「何してんのかって、聞いてんだけど」

雅は言った。



「たまたま、通りかかっただけ?です」

雅の勢いに圧されてしまった。








「全部聞いてたんでしょ?」

雅に聞かれ、正直に頷いた。











雅は自分の隣で呑気に鼻歌を唄っている。そんな雅の横顔を見ていた。






「何?」

それに気づいた雅は立ち止まった。





「いや、さっきまであんなことがあったのに強いなと思って」

俺が言うと、









「強くなんてない。強くしてないと、自分がどうにかなっちゃいそうだから」










雅は、小さな声でそうゆうと「あたし、こっちだから」と手を振って帰っていった。













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