ありがとうを…キミに。
「雅?」
うずくまっていたのは、雅だった。
雅は、ゆっくりと顔を上げた。
「柚流くん…?」
「大丈夫か?」
俺は、しゃがみ込み雅の顔を覗き込んだ。
「大丈夫」
雅は立ち上がった。顔色は、悪いままだった。
「顔色、悪いぞ」
俺が言うと、
「平気。ちょっと、立ちくらみがしただけ」
雅はそうゆうと、鞄を持って歩き出した。
俺は、雅の後を追った。
「ほんとに大丈夫だから。じゃあね」
途中まで雅と歩き、雅は自分の家の方向へと帰っていった。
このときの俺は、雅の苦しさに気づいてやれなかった。
大丈夫だと言い張る雅を信じていた。