空に叫ぶ愛
その時。


二つの綺麗な小さい光がユラユラと浮遊しているのが見えた。



消えては光る。

消えては、光る。



「蛍……?」



そう。二匹の蛍が私達の前を優雅に飛んでいたのだ。


初めて蛍を見た……



「綺麗…」


「初めて?」


「うん」



儚い二つの光はロマンチックな雰囲気を作ってくれた。


ありがとう…


そう、心の中で呟く。


今日は私の人生の中で、一番楽しかった日かもしれない。


言い過ぎじゃなくて。本当に。


好きな人と、一緒に。
ステキな思い出ができた。


溢れ出す、愛しさを噛み締める。


幸せ……



この時の私は幸せを確かに感じていた。


――…崩れることも知らずに。


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