空に叫ぶ愛


「じゃあね、愛ちん」


「愛ちゃん、バイバイ」



無理やり笑顔を作って翔と若菜の2人に手を振る。


そして教室には空と私だけになった。


久しぶりの2人きり。


どうして帰らないの、空……


なかなか動き出さない空に私は鞄の紐に手をかけた時。




「愛、大丈夫?」




え……?


空の優しさが胸に染みて、ジワッと目に涙が滲み出て来たのがわかった。



やばっ……



そう思った私は持っていた鞄を胸に抱いて駆け出す。



泣くな!



廊下を全力で駆け抜け、
階段を急いで下りる。



──パシッ…



急に捕まれた手。

急に止まった体と思考。



振り返るとそこには空がいて。
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