空に叫ぶ愛
え?

バッと後ろを振り向くと同時に〝友美〟と呼ばれた彼女が俺の横をすり抜けた。



「愛…あのね」


「来ないでっ!!」



愛の怒鳴り声で友美ちゃんはピタッと立ち止まる。


…泣かんで。


もう、お願いやけん泣かんで。と愛と肩を震わせている友美ちゃんに心の中で呟く。



「何しに来たの」


「愛と話たくてっ……ケータイに電話したけど繋がらなかったから…」


「私は今さら話なんてしたくないっ。帰って!」



そう言うと愛は再び走って行ってしまった。


俺は咄嗟にそんな愛を追いかけようとしたが、やっぱりやめた。


友美ちゃんの方も気になったから。



「ねぇ、愛となんがあったと?」


「え?」


「詳しく教えて」



ザァ…と、夏の風が草木を揺らした。
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