空に叫ぶ愛
助けて!と強く思っている涙が愛の頬をびしょびしょに濡らす。


愛の頬に手を伸ばす。


俺が愛の頬に触れると愛の肩がビクッと跳ねた。でも気にせず、親指で涙を拭ってゆく。



「俺ね、死にたいって生きとる意味なんてないって、愛と同じように思っとったんよ」



川の穏やかなせせらぎが心に冷静さを保させてくれる。



「俺には海(ウミ)って名前の5つ離れた兄貴がおったったい?…でも俺のせいで死んだっちゃん」



そう。俺のせいで。


俺が小学二年の時で海が中学一年の時。


俺が車に引かれそうになった時に海がかばって、そのまま…────。


幼い俺の目の前で。
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