空に叫ぶ愛
辛かった。

俺は海が好きやったけん。


だって海は仕事を第一に考える両親に代わって俺の世話をしてくれてて。


憧れの兄貴やった。



「海はできがよくて、俺は小さい頃からヤンチャで。両親は怒っとった。なんで海が死んでアンタが生きとうと!って。俺だって辛かったとに…」



笑えるよなって言うと愛はフルフルと顔を横に振った。


そんな愛を見て俺は微笑む。


両親はできの悪い俺より、優秀な海の方が好きやった。


ただ、それだけ。


だけどそれは、俺の心に〝闇〟をもたらした。



──俺は何で生きとうと?


──俺は何で生まれて来たん?



答えは、ない。


いくら考えても答えなんて出て来なかった。


そして俺はいつの間にか〝死にたい〟と思うようになっていた。
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