空に叫ぶ愛
錆びた門をくぐり抜けて、生徒用の下駄箱に向かう。


靴から上靴に履き替えていた時、若菜が丁度やって来た。



「おはよう」


「おはよー、愛ちん!」



若菜の前髪が目の上で切り揃えてある。


たれた大きい目が特徴の可愛い顔が一段と可愛く見えるのは、恋をしたからだろうか……?



「わーかな!保健室行こう?」


「え!?な、なんでっ?」


「空、先に行ってて!」



キョトンとした空にそう言って、顔を真っ赤にした若菜の背中を押す。


そしてそのまま保健室に向かった。


嫌だと口では言っている若菜だけど、顔は全然嫌そうに見えない。



「せんせー、おはよ!」



私がそう言ったのと、泣きながら保健室を飛び出して来た女の子を見たのは同時だった。


今の子……どうしたの?
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