空に叫ぶ愛
頭を横に振る。すると空は口の端を軽くあげ、優しく微笑む。



「帰ろう」



空の左手が私の右手に絡んでくる。私はそれを受け入れた。


自然と空と目が合う。

そして当たり前のように笑い合った。



「ありがとう……」


「なんが?」


「別に」


「わけわからんしっ」



あははって笑う空が輝いて見える。


空の笑顔が私の瞳に映るたびに、胸が激しく高鳴ると同時に私も笑顔になる。


───…いつの日か。


空の笑顔は太陽のようだって言った。

あと、星のようだとも言ったよね。



でも、今は。

〝愛〟

そのものの笑顔のような気がするよ。



愛という言葉そのままを象徴するような、そんな空の笑顔。
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