空に叫ぶ愛
「──…愛?」



ハッと空を見る。



「出らんと?」


「あ…あぁ、うん。出て来るね」



無理やり笑顔を作ると病室から廊下に出る。深呼吸をしてボタンを押した。



「もしもし……」


『愛?久しぶり。……元気?』


「ん。まあ、元気」



……心臓がドクドクうるさい。


痛いほど、動いている。



『そう…。アンタ、今どこにいるの?』


「え?」


『今、お父さんとおばあちゃん家に来てるんだけど。誰もいないから……』



今……なんて?


お母さんとお父さんが……家に来てる?



『ちょっと、聞いてるの?』


「…うん。聞いてるよ」
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