空に叫ぶ愛
なにをしに?

なにをしに来たの?



「今、病院。水島医院ってとこだから」


『え?なんで病院?』


「おばあちゃんが……倒れたから」



静寂に包まれた廊下に私の声だけが鮮明に響く。


不思議と手が震える。


何が私をこんなに怯(おび)えさせているのだろう。



『倒れた!?おばあちゃんが?!』


「そう」


『どこの病院?』


「水島医院だって言ったじゃん」



何回言わせるの……



『わかった。すぐ行くから』



───プツ…ツーツー…



1日入院すればいい程度と言わなかったのは、ちょっとした意地悪。


いいよね?これくらい。


だって、おばあちゃんが倒れたのはアンタ達が私をおばあちゃんに押し付けたせいでもあるんだから。
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