空に叫ぶ愛
「愛、話があるの」



そうお母さんが言って来たのは片付けが終わってからだった。


話……?


ソファーに座る私の真向かいにテーブルを挟んで二人が座った。



「母さんと父さん、ここに住もうと思う」


「ここに住むって……」


「おばあちゃんも心配だし。なにより愛と一緒に暮らしたいの」


「愛達があっちに来たら愛は学校が変わるし……嫌だろ?」



学校が変わるのは、確かにイヤ。

空や若菜達と会えなくなるのは嫌だもん。



「お父さん、仕事は?」


「ん?あぁ、心配いらないよ。少し時間はかかるけど電車もあるし」



ニコッと笑うお父さんの笑顔は相変わらず苦笑いに見えるけど、いいの。


お母さんにいいこと聞いたから。
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